How to Live as an Artist.

ただ過ぎる時間をいとおしく綴る。昔みたいに。

半田雄翔 / Escape from Depression 2004-2014


"半田雄翔 /Escape from Depression 2004-2014 by [Rejecreate Label】 - Hear the world’s sounds"


ここまで10年間の音楽を通して聴いた事がなかったので
時系列順で音源をまとめてみました。

これがソロアルバムではない事は確実なのですが、
自分の曲だけなので不思議な感覚で通して聴きました。

安売りされてく、そして確実に安くてハイクオリティな世界観を作っていく事が出来る時代になって「心を削って音楽を作る意味」なんて希薄化していくのだろうし、
現状この熱量の価値を信じれない自分も居るけれども…
自分が“自分を通して”みてきた世界が美しくて儚くて、
いつからかその世界感が自分を生き辛くしていった。
16歳から26歳までのいわゆる多感な時期に、その世界は誰とも判り会えずに孤独だった。時系列で聴いてその宿命みたいなものを感じたし、少しずつ音楽を世に出す方法も変わって行ってる昨今。
「死ぬまでに一枚、この世に信じた刹那を刻みたい、そんで持ってとっとと死にたい、あまりに辛い」とか、思い出しても苦しい日々だったけれど、
去年から一年ただ山や海、神社に行って、季節の花を見て、美味しいお酒を飲んで、
音楽からは本当に離れていたし。
時代から感性がずれて行っても自分は自分で居たい。

2004年に僕がシンセサイザー(MS2000B)を買って、Telecasterを弾きまくって
ZOOMのMTRで録っていた曲から、
自作PCの為に必死でバイトをしてCubase SX3と格闘したり、
Pro Toolsでミックスを勉強し、WaveLabで必死でマスタリングしたり、
作曲事務所に入って仕事を始める矢先に、鬱病になり、
10代の終わりに音楽制作の学校を中退したり。

ビクターのマスタリングセンターで聴いた曲も、
高円寺GEAR西荻窪ターニングで、チェルシーホテルやOーEAST、
渋谷屋根裏や下北沢251、LastWaltzでボロボロになってかき鳴らした曲も。
乃木坂のOpenmindの皆さんに悩みを相談していた日々も、
Plate TectonicsもReject Minority.もRelations without the nameも
(まぁ、God Modeも…)
斉木さんと色々な事を話した渋谷での日々も。

何と格闘していたのだろうか…と思うけれども、
そろそろ自分の手から離したい。離れて行って欲しい。

曲たちは曲たちとして自我を持ち、
僕が感受性に傷つけられた10年に紡いだ意味を越えた「輝き」を
これからは曲自身が持っていってくれたらとても素敵な事だし、
深く考えないで「あ、これ好きかも」みたいな軽さで出会ってくれたら、
そこには僕の人生の悲しみを越えた音楽の強さが芽生える筈と信じて。


それだけは信じさせていて欲しい。

アーティストとしての誇りを胸に。
僕は何も変わっていないから。


誰かがこの心と感受性を削りながら紡いだ音楽たちと
今日でも、明日でも…遠い未来にでも
出会って何度も聴いてくれたら、どれだけ嬉しいだろう。
報われるだろう。

ポピュラリティを得れる事を知っている自分のメロディが
社会的なヒットを放つより、それが僕の音楽の力。
信じたい芸術作品の価値なのかもしれない。

二月の京都で振り返った自分はとても苦しそうだった。
これから先もそれを繰り返すのだろう、という覚悟と共に
世界は自分を護ってくれているのだ、と感じた。

自分が特別な環境に育ち、人と違った病気を持ち、
ただ、だからこそ感じた世界、生まれた音楽は
きっと誰かと共鳴する筈。



先ずは通してこの一時間にも満たない12曲を
聴く時間を作って欲しい。

まだ出会った事のないリスナーの皆様(もちろん追っかけてくれるファンの方も)
…社会で生き続ける事を選んだ方の心へ送ります。




半田雄翔